Thursday 25 September 2014

演出家の仕事

今日は、某女子短大の教養講座でお話をさせていただきました。
演出家の仕事について、です。
短大の2年生対象ですから、既に就職が決まったかた、4年制大学編入が決まったかた、まだこれからのかた・・・いずれにせよ、人生のある岐路に立っている若い美しい命達に向かってお話せねばなりません。
まず、演出家の仕事についてお話ししたので、その部分をご紹介します。

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演出家の仕事は、映画で言えば、映画監督のようなもの。
ある作品を、どんなふうに見せたいのか、内容も、衣装も、照明も、「こういうふうにしたいの」というイメージを持たなくてはなりません。
プロデューサーを説得し、舞台美術家を説得し、衣装デザイナーを説得し、俳優を説得します。あるいは話し合います。

ロミオとジュリエットを上演したいとき、お客様が悲劇にショックを受けるのは、二人が生きる希望に満ちて、なんとしても恋を成就させたいと思うから。
でも、ジュリエットは、案外ダークな台詞を言います。
「私が死んだらロミオを切り刻んでからお空の星にして」なんて、グロテスクなイメージなんでしょう!
そういうところから、ジュリエットには、無意識や潜在意識で「死に対する憧れ」があった、深層心理で暗い望みを抱えていた、と心理学的に解釈して、どこか暗い死の影を持つジュリエットで演じたとしたら、お客様はラストシーンに驚かないでしょう。
私たちが、ドラマにハラハラするのは、ジェットコースターと同じ、登っていくとき、先に線路が見えないから、怖いのです。
だから、ドラマを先を先読みさせてはいけません。
ロミオとジュリエットのような、誰もが知っているストーリーに、どんな新しいジェットコースターの軌跡を設計するのか、それが演出家の仕事なんです。

因みに、皆さんも演出をしているんですよ。毎朝。
髪型を整えるとき、メイクをするとき、服を選ぶとき。
丸襟か四角い襟かで、相手に与える印象は驚くほど異なります。
Tシャツとジーンズでいいや、と思う時でさえ、色は何色か、なぜそれでいいのか、というしっかりした理由があります。
あまり目立ちたくないから、という意識でさえ、立派な理由なのです。

そう思うと、毎朝、違う自分を演出することができますね。
「いつもと違うね」は褒め言葉になりこそすれ、あなたを引き止めるブレーキになってはいけないのです。
毎日、違っていい。(タレントさんは、ある特定のイメージで売る場合が多いのですが)
変わりたいと思った時、いつでも変わることができます。

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この話からは、多くの学生から、変化していいのだ、変化するのが怖くなくなった、毎朝演出していると思うと楽しくなってきた、という感想を頂きました。

続いて、自分の経歴の話をしました。つづく・・・


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