Thursday 31 October 2013

人の輪

この秋は随分多くの知人関係者が亡くなりました。
その一人に、厄介だけど憎めない人がいました。

ある舞台を上演後、見慣れぬ人がロビーで近づいてきて、mixiで見たのだけれど、と話しかけられたのが、その人が私のファンになったきっかけでした。
どうやら若い音楽人や舞台人を発掘して願わくばプロデューサーになりたいと思っていたようです。暫く私の演出する舞台公演の客席に顔を出していましたが、そのうちに私が動くところを見たいと言うのです。当時は私はまだ演出しかしていませんでした。

そのファンのかたはジャズとシャンソンが好きで、ジャズとシャンソンのミュージシャンを育てたかったようです。私にもジャズとシャンソンを歌ってくれ、ときました。
私は歌は人前では歌わない、と決めていましたが、ファンの希望で、その人の企画で、歌い手は4人くらいいて良いし、人数も10人くらいが相手だというので、唐突に急遽、歌を習い、歌ってみました。両国にある小さな居酒屋で、私は本物の歌手俳優(ミュージカル俳優)を三人連れて行きました。その人たちはもちろん見事な曲をたくさん披露してくださり、私も合間に電子ピアノで「花はどこへ行った」と「In My Life」と「ラストダンスは私に」を歌いました。

そのファンはそれがお気に召したらしく、今度は私一人での歌番組を、ちゃんとしたジャズバーでやりたいというのです。無理です、とお断りし続けましたが、ある俳優さんが(そのかたもそのファンの方のご紹介)、歌える人はたくさんいるから、三輪さんにしかできないことをしたら?とアドバイスをくださいました。それで、じゃあ、シェイクスピアの名セリフを英語で紹介して、その場面に合わせた歌を入れる、という形にしようかな、と思いついたのです。
それを『シェイクスピア遊び語り』と名付けました。

そのファンの方が、どうしても、と食い下がらず、そしてあの俳優さんの一言が無ければ、私の『シェイクスピア遊び語り』は、まだ生まれていなかったかもしれません。

そうして第一弾は、3月15日、ジュリアス・シーザーが暗殺された日を選んで、『ジュリアス・シーザー』を題材にしたのです。
場所はそのファンが設定した両国のジャズバー。20人しか入らないところですが、今回はそのファンがちゃんとしたジャズピアニストを紹介してくれたので、歌もがんばって練習し、私の歌を決して嘲らないことがわかっている、ごくごく親しい人だけ30名ほどに声をかけました。
一人も来ないだろうとおもっていたら、声を掛けた方は皆来てくださったので、そのジャズバーは立ち見で大変なことになってしまいました。

たったそれだけの人数でしたが、ぜひ次をという声に、調子の良い私は、自らの企画で第二弾を三ヶ月後に企画しました。今度は歌も真面目に練習し、生バイオリンも入れて、120人のホールを二回公演、共に満席に。

この第二弾からは、既にそのファンの介入を私は望まず、私自身が企画を進め始めたのですが、第三弾をやるにあたり、第一弾、第二弾のピアニストが東京を離れることになり、新しいピアニストを探さなくてはいけなくなりました。
もちろん、演劇関係で、私の周りには良いピアニストがたくさんいます。けれど、元々そのファンが紹介してくださったピアニストがいなくなるわけですから、一応相談すると、別のジャズピアニストを紹介してくれました。
私も、人の輪が拡がるのは好きなので、その全く知らなかったジャズピアニストと一緒にやってみることにしました。
さて、そのファンの方は、私の集客力を見て、ご自分も関わりたいと思ったのでしょう、第三弾を企画する際、関係者のような振りをなさるものですから、ちょっと困りました。
で、そのうちに私の個人マネージャーのような振りをしていると、某所から聞き及び、これは大変困ったことになった、と思いました。
そのファンの方には申し訳ないのですが、それを機に距離を置かせていただきました。

けれど亡くなったと聞くと、やはり寂しいものです。
舞台後にロビーで私を待ち構えていて、会うと嬉しそうな顔をして、飲みに行こうと誘っていたお顔が目に浮かびます(もちろん行きませんでしたが)。

そのファンの方を通じて、それこそ、私は歌うようになったわけですし、アドバイスをくださった俳優さん、人形劇俳優さん、書道家さん、獣医さん、フルーティストの作詞家さん、ジャズピアニストさん等、実に貴重な友人知人ができましたことは、本当に感謝の言葉をいくつ並べても足りません。
それはいつもご本人に申してきましたが、最後にこの場を借りて今一度、お礼を申し上げます。
ありがとうございました。
ご紹介いただいた友人知人はこれからも大切にしていきますね。
どうぞ安らかに。
合掌。





Saturday 19 October 2013

オペラ遊び語りの出演者達 

10月の公演「オペラ遊び語り」は完売しておりますが、完売したからと言って何も情報を載せないのもつまらなく、完売したからこそご覧いただけない皆様にいろいろ小分けで情報を出せたらいいなと思っています。

キャストを紹介していきましょう。

ソプラノ
宍戸茉莉衣
東京芸術大学音楽学部声楽科卒業、現在は東京二期会の研修所に所属しています。
大変まろやかな声の持ち主で、表現や演技の勉強も熱心にしていらっしゃいます。
演技の勉強をする時は、私と戯曲の台本を使って古典そして現代劇も勉強するのですが、 彼女は、初見での朗読も非常にセンスが良く、演出をつけるのが楽しいのです。

ソプラノ
中野亜維里
東京芸術大学音楽学部声楽科卒業、現在は東京芸術大学大学院のオペラ科在籍中。
ミス横浜でもあります。
学業中ではありますが、今回はどうしても彼女にしか歌えない曲を歌って頂きたく、拝み倒してお願いしました。

メゾソプラノ
本多都
東京芸術大学音楽学部声楽科在学中。
オペラはもちろんのこと、ミュージカルも大好きで、ダンスも行ってしまうという多芸多才な楽しい人。
学業中ではありますが、彼女の表現力を買って、ぜひにとお願いしました。

この女性たちに共通して言えるのは、「謙虚」。
心の美しい人たちです。
決して人批判しない、
決して人の悪口を言わない、
自分を真摯に磨く、
そして人との交流がちゃんとできる。


続きまして、男性キャストの紹介です。

テノール
新堂由暁(しんどうよしあき)
東京芸術大学音楽学部声楽科卒業。 テノール歌手として早くも活躍を期待され、昨年は某テレビ局に1年間の歌手活動をぶら下がりで撮影・取材され続けました。
なんというか、明るくて前向きで元気な人柄がストレートに声に現れていて、一緒にいて周りがみんな明るく元気になります。大阪出身の良いところだけを持っている感じ。ピアノもプロ並みのうまさ

バリトン
加藤大聖(かとうたいしょう)
東京芸術大学音楽学部声楽科卒業。バリトン歌手でありながら、みずから企画をじゃんじゃん立て、在住地域にも歌に溢れる生活空間を作りたい、みんなに音楽を楽しんでもらいたい、という気概に満ちあふれる、熱意の男。
まっすぐな視線と姿勢がとても頼もしく、私もたくさん頼ります。それでいて遊び心一杯の喜劇が得意!

バス
山野靖博(やまのやすひろ)
東京芸術大学音楽学部声楽科卒業。出身地山梨をこよなく愛し、山梨にオペラハウスを作るべく、プロデュース術や経営も学び、その頭脳には哲学者的洞察力があります。料理の腕はプロ並みで、私のハウスパーティーには欠かせない人物。9月に初のソロコンサートを開催し、大成功を収めました。

彼らに共通しているのは「遊び心のある、純な真摯さ」
とにかくよく考える。深く洞察する。常に疑問を持つことを忘れない、それでいて、ネガティブな 意見は決して出さず(というか、おそらく思いつきもしない)、我が身を省みることに生かす。
それでいて、喋っていて実に楽しい。深くて明るくて華やか。

先述した女性陣との相性は抜群です。
全員、それぞれ個性はあるし、悩むところもあるし、怯えるところもあるけれど、そうした状態をちゃんと認識してお互いを尊重しています。

わたしのほうが、これほどの人々に囲まれて、落ち度はないかとあたふたする始末です(汗)


最後に、ナビゲーターとピアニストをご紹介します。

ナビゲーター
Luther "No.1" 市村
国立音楽大学声楽科卒業。東京二期会所属。Bro. Tom 率いるREAL BLOOD のメンバーで、ソウルシンガーとして活躍中。ロータリークラブ奨学金でイタリアおよびドイツへ留学、イタリアとドイツの両方の発声法を修め、イタリアのオペラハウスからは在留を勧められるも、思うところあり帰国。帰国後は、オペラのみならずミュージカルやテレビ番組にもレギュラー出演を重ねるマルチな歌手。とにかく耳が良くて、言語もほとんど耳覚えで身につける人です。英語も、周囲にいるのがイギリス系なためか、ブリティッシュアクセントです
その歌唱力と演技力と朗読力の三大能力を頼って、私の「シェイクスピア遊び語り」作品にはここのところ継続して出演して頂いています。今回は、その流れでオペラを紹介しようと、ふたりで企画しました。ナビゲーターの役割ですが、私が特にお願いして、日本語でオペラ曲をひとつ披露して下さる予定。

ピアニスト
林正浩
東京芸術大学音楽学部楽理科修士課程在籍中。ピアノの腕、曲解釈の柔軟性、膨大な知識、歌手や演出や曲調に合わせて瞬時に弾き方を変化させる様に、稽古中から舌を巻きっぱなしです。今回、初めてのおつきあいですが、柔らかい人柄と、芯のしっかりした音楽性に、皆の信頼を一身に集めていらっしゃる理由がよくわかりました。本番まで、とても楽しみです。

ところで、私も市村さんと一緒にナビゲーターをおこないます。
息の合ったところをお見せできるよう、音楽家たちの足を引っ張らないよう、がんばります。

Tuesday 1 October 2013

ICU GLS Comments on my Class

I taught a class of Acting for Global Leadership Studies program at International Christian University in Tokyo.
The participants' comments have arrived and I am pleased.
Here is some of what they said about the class.


  • The class was relaxing and making the participants more confident with their body expressions.
  • Coaching and Acting classes are useful for our future life style.
  • The performance class is one of what I wanted to learn.  The teacher explained very clearly.
  • Elica provided quite new knowledge and viewpoints.
  • I learned proper position, how to stand, how to walk and how to sit down.
  • I will use these when I am in working time, especially in front of many audience and customer.
  • The acting class is very useful to improve the voice tone and posture for future presentations.
  • I could learn how to breathe in vocalizing.  It is vey useful skill for me.
  • It:s good to know the basics of how to voice and how to move the body.
  • Elica's acting class was very interesting for many aprticipants' attitude had been changed so much!!
So and So.
Thank you guys.
I also read so many good comments about me (not only about my class) but they are too flattering and I dare not state them here.

ICU大学でのグローバル・リーダーシップという社会で活躍するビジネスマンたちのための夏期講習にて「演技」のクラスを教えています。(全て英語で行なわれる)
その感想文が送られてきまして、どうやら皆、得る物がたくさんあったようで、わたしも喜んでいます。
クラスの内容と共に、わたしへの褒め言葉がわんさか書いてあって、それは恥ずかしいので載せません。でも、本当にありがとうございます。
わたしがやっていることは小さな、些細なことですが、ひとりでも多くの人に、少しでもなにか、プラスの時間と経験を分かち合うことができたなら、とても嬉しく思います。