Thursday 23 April 2015

拝啓 西本裕行様



本日の舞台初日でお目にかかれるのを楽しみにしておりましたのに
あまりにもあっけなく、逝ってしまわれたのですね。

このお芝居の稽古がお休みの19日、日曜日。
このお芝居の出演者である坂本岳大くんが、
6月の私の芝居のリハーサルに、稽古休みを利用して、来てくれました。

私 どう、初日に向けて?
岳大 いや、もうたいへんっすが、面白いですよ。西本さんとか、もうすごい勢いでセリフ入れてこられて、「僕、今日は大丈夫だったでしょう?」とかおっしゃって。

というお話をして、みんなで西本さんの演技を拝見するのを本当に本当に楽しみにしておりましたのに。

その日曜日、帰宅してみたら、連絡があり、急逝を知りました。

西本さん、
私、「お気に召すまま」をやるんですよ。

西本さんと初めてご一緒した作品です。

私は通訳として劇団昴のシェイクスピアに参加して、
まだまだ拙い通訳で、西本さんはさぞ歯がゆい思いをなさったことと存じます。
暖かさと脆さと激しさの同居する、そして決して負けない強さをお持ちの、
本物の俳優でいらっしゃいましたね。

そういえば、あのときの「お気に召すまま」でも、
西本さんは、兄公爵と弟公爵のひとり二役を演じてらっしゃいましたね。

今回の私の作品でも、とても優れた演技術を持つかたが公爵を、兄弟二役で演じます。

西本さんという素晴らしい俳優に接することのできた「お気に召すまま」を
私がやってみよう、と思った矢先に、もうここにはいらっしゃらないなんて。

ああ、西本さんともっともっとご一緒したかったです。
私の昴での使命作品では、西本さんとはなかなかご一緒できず、
それが心残りです。

ですから、あの「お気に召すまま」が
私には、西本さんの唯一の思い出なのです。

その唯一の作品で、たくさん、たくさん、学ばせていただきました。

今回の「お気に召すまま」で
そうか、そうか、と微笑んでいただけるよう、素直な作品作りをしたいと思っております。
どうぞ、天国から、眺めてお護りください。

お昼寝をなさったまま、息を引き取られたと伺いました。
もしかしたら、まだ、ご自分はお昼寝の最中だと思っていらっしゃるかもしれませんね。

「ハムレット」の最後のホレイショのセリフが、まさにふさわしい。。。

Now cracks a noble heart.  
Good night, sweet Prince,
and flights of angels sing thee to thy rest.

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